第16話|バイクもボートも、ほんまに残すん?

「なぁ。」

夫が言った。

「ん?」

「昨日の話やけど……」

「うん。」

「バイクもボートも、ほんまに残すん?」

私は少し考えた。

「……残したい。」

そらそうや。

夫にはハーレーがある。

私にはカワサキ・メグロがある。

そして夫には、もうひとつ大きな趣味がある。

ボート。

釣りに行くための、大事な相棒。

「でも、FIREするんやろ?」

夫が言う。

「うん。」

「仕事辞めたら、今より時間あるで。」

「そうやな。」

「ってことは……」

「もっと乗るんちゃう?🤣」

「……たしかに。」

夫婦で笑った。

でも、笑ってばかりもいられない。

FIREしたら、給料はなくなる。

今までは、

「まあ、これくらいならええか。」

で済ませていたお金も、

FIRE後は全部、

「本当に必要?」

って考えることになる。

バイクだって、

税金がかかる。

保険もいる。

車検もある。

メンテナンスも必要。

ボートだって、

維持費がかかる。

燃料代もいる。

修理だってある。

「……結構かかるな。」

夫がボソッと言った。

「今さら気づいたん?🤣」

「でもな。」

夫が言った。

「だからって、全部手放すのは違うと思うねん。」

私はちょっと意外だった。

「なんで?」

「仕事辞めて、時間ができて。」

「うん。」

「その時間に何するん?」

「……旅行?」

「それもする。」

「美味しいもの食べる?」

「それもする。」

「釣り?」

「する。」

「バイク?」

「乗る。」

「……。」

夫が笑った。

「それがFIREしたい理由やん。」

たしかに。

考えてみれば、

FIREしたいのは、

何もしないためじゃない。

仕事を辞めたあとに、

自分たちがやりたいことをするため。

旅行に行ったり。

釣りに行ったり。

バイクに乗ったり。

美味しいものを食べたり。

私は美容も楽しみたい。

だから、

「FIREするために、好きなものを全部やめる」

というのは、

なんだか本末転倒な気がする。

「じゃあ……」

私は夫に聞いた。

「ハーレーも残す。」

「残す。」

「メグロも?」

「もちろん。」

「ボートも?」

「もちろん。」

「旅行も?」

「行く。」

「美容も?」

夫がちょっと間を置いて、

「……そこは俺が口出しすることちゃうやろ🤣」

「当たり前やん🤣」

ただ、

ここでひとつ問題が出てきた。

好きなものを残したままFIREするなら、当然お金も必要になる。

今まで考えていた、

「5,000万円あればFIREできる」

という数字。

もしかすると、

私たちの生活には合っていないのかもしれない。

「なぁ。」

私は夫に聞いた。

「結局さ。」

「ん?」

「ハーレーもメグロもボートも旅行も残すなら、いくら必要なん?」

夫はまたスマホを取り出した。

「……それ、計算してみよか。」

また始まった。

私たちの、

FIREに必要なお金探し。

今度は、できるだけ現実に近い数字で考えてみることにした。

次回

第17話|じゃあ、年間いくらなら使ってええん?

「今と同じ生活をしたら、年間480万円。」

でも、

FIREしたあとも本当に毎年480万円使うのか。

旅行は?

バイクは?

ボートは?

美容は?

逆に、仕事を辞めたら減るお金もある。

「じゃあ、FIRE後の生活費って、ほんまはいくらなん?」

次回、今の生活を一度バラバラにして、FIRE後に必要なお金を考えてみることにした。

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