「なぁ。」
夫が言った。
「ん?」
「昨日の話やけど……」
「うん。」
「バイクもボートも、ほんまに残すん?」
私は少し考えた。
「……残したい。」
そらそうや。
夫にはハーレーがある。
私にはカワサキ・メグロがある。
そして夫には、もうひとつ大きな趣味がある。
ボート。
釣りに行くための、大事な相棒。
「でも、FIREするんやろ?」
夫が言う。
「うん。」
「仕事辞めたら、今より時間あるで。」
「そうやな。」
「ってことは……」
「もっと乗るんちゃう?🤣」
「……たしかに。」
夫婦で笑った。
でも、笑ってばかりもいられない。
FIREしたら、給料はなくなる。
今までは、
「まあ、これくらいならええか。」
で済ませていたお金も、
FIRE後は全部、
「本当に必要?」
って考えることになる。
バイクだって、
税金がかかる。
保険もいる。
車検もある。
メンテナンスも必要。
ボートだって、
維持費がかかる。
燃料代もいる。
修理だってある。
「……結構かかるな。」
夫がボソッと言った。
「今さら気づいたん?🤣」
「でもな。」
夫が言った。
「だからって、全部手放すのは違うと思うねん。」
私はちょっと意外だった。
「なんで?」
「仕事辞めて、時間ができて。」
「うん。」
「その時間に何するん?」
「……旅行?」
「それもする。」
「美味しいもの食べる?」
「それもする。」
「釣り?」
「する。」
「バイク?」
「乗る。」
「……。」
夫が笑った。
「それがFIREしたい理由やん。」
たしかに。
考えてみれば、
FIREしたいのは、
何もしないためじゃない。
仕事を辞めたあとに、
自分たちがやりたいことをするため。
旅行に行ったり。
釣りに行ったり。
バイクに乗ったり。
美味しいものを食べたり。
私は美容も楽しみたい。
だから、
「FIREするために、好きなものを全部やめる」
というのは、
なんだか本末転倒な気がする。
「じゃあ……」
私は夫に聞いた。
「ハーレーも残す。」
「残す。」
「メグロも?」
「もちろん。」
「ボートも?」
「もちろん。」
「旅行も?」
「行く。」
「美容も?」
夫がちょっと間を置いて、
「……そこは俺が口出しすることちゃうやろ🤣」
「当たり前やん🤣」
ただ、
ここでひとつ問題が出てきた。
好きなものを残したままFIREするなら、当然お金も必要になる。
今まで考えていた、
「5,000万円あればFIREできる」
という数字。
もしかすると、
私たちの生活には合っていないのかもしれない。
「なぁ。」
私は夫に聞いた。
「結局さ。」
「ん?」
「ハーレーもメグロもボートも旅行も残すなら、いくら必要なん?」
夫はまたスマホを取り出した。
「……それ、計算してみよか。」
また始まった。
私たちの、
FIREに必要なお金探し。
今度は、できるだけ現実に近い数字で考えてみることにした。
次回
第17話|じゃあ、年間いくらなら使ってええん?
「今と同じ生活をしたら、年間480万円。」
でも、
FIREしたあとも本当に毎年480万円使うのか。
旅行は?
バイクは?
ボートは?
美容は?
逆に、仕事を辞めたら減るお金もある。
「じゃあ、FIRE後の生活費って、ほんまはいくらなん?」
次回、今の生活を一度バラバラにして、FIRE後に必要なお金を考えてみることにした。

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